ドイツ国際展[ドクメンタ13とベルリンビエンナーレ]報告会 | Art Autonomy Network

ドイツ国際展[ドクメンタ13とベルリンビエンナーレ]報告会

AANディレクターの嘉藤は、日本橋とは別に「向島学会」の理事(すでに10年目?)として
墨田区ともかかわっているんですが、その関係で「墨田まち見世プロジェクト」の一環でトークを行いました。
トークは、第1回 墨東まち見世塾という事業として開催され、「まちづくりとアート」について
学ぶ場だったので、もっと直接的な内容を言及すべきだったのかもしれないです。

でも、ヨーロッパのアート事情のなかにまちづくりを反映するのは難しいんですよね。
それだけアートは、社会的な存在として確立しているし、国際展としてすでに長寿の域にある
ドクメンタ(1955年開始)からすれば、日本の文化政策は若輩に見えても仕方ないです。
とはいえ、ドイツの有名な国際展から日本のアートフェスやアートプロジェクトの在り方を
振り返る機会にもなったらいいと願っています。今回のトークに招へいしていただき、
とても刺激的な機会をいただきました。「まち見世」や「向島学会」の事務局のみなさまには、
大変にお世話になりました。ここに御礼を申し上げます。

さて、開催会場は、亀戸スタジオという大型倉庫を複数のアーティストがシェアしているアトリエです。1階のフロア面積はCH131より広いかな。ただし、2階までなので、総面積はCH131のほうが大きいと思います。かつてカッセルに住んでいた岸本さんが、スタジオのシェアメンバーで、今回ホスト役としてお世話になりました。岸本さんには、10年前にカッセルでお会いしたのが初めてです。いやぁ、人生いろいろとつながりますね。

会場には、ドクメンタやベルリンビエンナーレで手に入れたポスターや布袋、傘などを展示して雰囲気を盛り上げたつもりです。このポスターやバッジなどを最後にプレゼンとしました。

「ドクメンタ」は、よく聞くけど何がすごいの?何がそんなに有名なの?と素朴な疑問をおさらいして、今年のドクメンタの特徴を嘉藤なりの視点でお答えしました。

Documenta13
開催日程:2010年6月21日―2012年9月16日まで
開催会場:KASSEL、KABUL-BAMIYAN(2010年6月7日~7月19日)、ALEXIANDRIA-CAIRO(2012年7月1日~7月8日)、BANFF(2012年8月2日―8月15日)
今年のアーティスティック・ディレクター◎カロリン・クリストフ=バカルギエフ(イタリア系アメリカ人)
経歴:PS1シニアキュレーター (1999-2001)”Greater New York(2000) “Around1984”(2000)展を開催。チーフキュレーター、Castello di Rivoli Museum of Contemporary, トリノ 2002-2008、09仮館長)、共同キュレーターとして第1回トリノトリエンナーレ(2005)、アーティスティック・ディレクターとして第16回シドニービエンナーレ(2008)
インディペンデント時代:ジョン・ケージ(ヴェネティア・ビエンナーレ1993)、アントワープ‘93「Euro Capital of Culture」アルベルト・ブッリ(戦後イタリア美術、1996)、ローマ市街展“Citta-Natura”(ローマ1997)、ヴィラ・メディチ(1998-2000)の3年間事業(約100名以上の作家)
出版:アルテ・ポーヴェラ(Phaidon,1999)、ウィリアム・ケントリッジ(1998-99)、ジャネット・カーディフ+ジョージ・ブール=ミラー(PS1,2001)

テキスト「The dance was very frenetic, lively, rattling, clanging, rolling, contorted, and lasted for a long time」(その踊りは、とっても熱狂的で、生き生きしていて、ガタガタしていて、ガーンとして、転がって、捻じ曲げて、長い間続いた。)

●DOCUMENTA(ドクメンタ)1955年からカッセルで始まる。自治出資による「ドクメンタ有限会社」による運営。ドクメンタ5(1972)のハラルド・ゼーマン(1933-2005、スイス)からディレクター制。ヨゼフ・ボイスほかコンセプチュアリストを多数採用。以後5年制。ヨゼフ・ボイス「直接民主主義のための100日間情報センター」@Documenta5。デュッセルドルフ芸術アカデミー(1961-1972解雇)→自由国際大学(Free University)@1974、1978不当解雇について勝訴(以後、教室がFree Universtyのオフィス。7000本の樫の木を植えるプロジェクト@ドクメンタⅩとXII(1972・1982)「社会彫刻」「緑の党」へ。
ウォーター・デ・マリア@Documenta7の[Vertical Earth Kilometer]

こうした基本情報を踏まえてドクメンタ13を見ることで、以下のようなキーワードから、より展覧会の特徴が明確に見えてくるはずです。
もちろん、鑑賞者がそれぞれに見て感じればいいことなのですが、大きな国際展(190人以上の参加作家で30以上の施設を利用した展覧会であり、まる4日間をかけても見たりないほど巨大なスケールの美術展)を見るために、これらの客観的な視点が加味することで、少しでも手がかりになればと思っています。

■アラブの春+アフガン(12名)イスラム圏
⇒戦争/紛争/政治
■アーカイヴ(歴史から読み返す)
■文化財保護(世界遺産セキュリティの動き)
⇒Political Correctness/Globalisation/Public Commons
■自然/環境(エコロジー)
⇒Site Specific/市街地再利用
■クロスワードパズル(キーワードで複数登場する)

その後、400枚以上におよぶスライドを見てもらいました。
ほぼ3時間ぐらいぶっ続けで話をしましたが、まだまだ時間が足りませんでした。(笑)
非常に大がかりな展覧会なので、一度実際に見ることを薦めます。5年後のドクメンタ14は、ベネティア・ビエンナーレやミュンスター野外彫刻展も同時期に開催されます。この時は、ぜひとも出かけましょう。何か絶対に得るものはあるはずです。

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